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「収集」は良い趣味です。誰しもその欲求からは逃れられません。

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収集対象2穴銭

「穴銭収集」は良い趣味です

京を震撼させた新選組の近藤勇が板橋の刑場で処刑されたのが今から約150年の昔。
天下人織田信長が本能寺に果て、安土城が焼け落ちたのが今から約440年の昔。
藤原道長らの貴族や、陰陽師の安倍晴明らがいた平安の世が今から約1000年の昔。
劉備玄徳や曹操孟徳、諸葛孔明ら三国志の雄が駆けたのが今から約1800年の昔。
秦の始皇帝(政)や李信(信)ら「キングダム」の舞台は今から約2200年の昔。

人間はどんなに頑張ってみても100年も生きられれば凄いことです。
しかし、それよりも遥か昔の世界から、古銭は長い時を渡って錆びたり欠けたりしながらも形を残してきました。
100年から1000年以上昔の人々が触れた古銭に、私達は容易に手を触れることが出来るのです。
これは凄いことではないですか!?
古銭の面や文字の間に詰まっている砂はいつの時代の物なのでしょうか。
歴史上の好きな人達の国・時代の古銭を眺めて触れて、思いを馳せてみるのも一興です。

綺麗な状態の母銭や伝世品は所有の満足感が大きいですが、銅銭の青磁色や千草色の青錆や、鉄銭の緋色や東雲色の赤錆達も、時の流れの深さを伝え、大変美しく飽きさせません。

穴銭以前は刀や手斧の形の青銅貨、更に昔の世界最初の貨幣は貝貨とのこと。

あれ?確か昔見た原始時代が舞台のアニメ「はじめ人間ギャートルズ」には巨大な石貨(穴銭)が出てきたはずだぞ?と思うようなら貴方も年齢がバレます(笑)。あれはあくまで漫画です。
(知りませんでしたが、1990年代にリメイクされてるんですね・・・。)


穴銭との出会いについて

昔、地元の切手古銭店に切手を買いに行った際に、穴銭を見かけたのが収集のきっかけでした。
小型50銭銀貨などの近代銭は見かけて気にはなっていましたが、穴銭については、時代劇番組「銭形平次」のOPで平次が投げている「寛永通寶」ぐらいしか知りませんでした。
ついぞ覗いた古銭コーナーでふと手に取った古銭の面には、「成泰通寶」と書かれていました。
どこの国の古銭なのかも全く判らず、ただなんとなく気に入ったので買って帰りました。

家で眺めている内にどんどん気になってきて、再び店を訪れて店主さんに尋ねてみました。
これは安南銭というもので、ベトナムという国の古銭ですよと教えてもらい、紹介してもらった安い安南銭数枚を買って帰りました。
(小さな古銭入れまでタダで貰ってしまいました。)

気づけば、もう穴銭の魅力にどっぷりと嵌ってしまっていました。

色々と教えてくださった切手古銭店の店主さんも既に亡くなられ、通った店舗も跡形もなく消えてしまいましたが、大変有難い出会いでした。


穴銭一覧

日本銭

「和同開珎」などは皇朝十二銭と呼ばれ、高額で取り引きされています。
「富本銭」は発見当時は日本最古の通貨か!と大変話題になりましたが、現在では無文銀銭と共に限定的な用途で用いた物、祈祷や祭事用などの物の扱いとする説が有力のようです。
また、「天正通寶」「文禄通寶」「平安通寶」なども通貨として流通したものではないようです。

皇朝十二銭
(和同開珎、万年通寶など)
中国に倣って鋳造したが、貨幣制度の確立には失敗した。人気が高いが贋作品も非常に多く注意が必要。
慶長通寶 皇朝十二銭以来の鋳造であるが、出自がはっきりせず永楽通寶を元にした嵌め込み銭が多く、私鋳貨とも。
寛永通寶 渡来銭で凌いでいた日本が大量鋳造に成功した貨幣。鋳造年により古寛永・新寛永と呼ばれ、鉄銭もある。
長崎貿易銭
(天聖元寶、祥符元寶など)
長崎での貿易に用いるために鋳造された。何れも中国銭を模していて、書体が異なるものも作られている。
寶永通寶 寶永5年(1708年)から十文銭の通用価値として鋳造されたが、流通に失敗し用いられた期間は短かった。
天保通寶 天保6年(1835年)から鋳造を始めた楕円形の銅貨。コレクターに人気が高いが昔から贋作品も多い。
文久永寶 文久3年(1863年)から幕末最後の銭貨として鋳造された銅貨で、一枚四文銭の価値として通用させた。
地方貨
(函館通寶、仙台通寶など)
諸藩領内での流通に限定した貨幣として鋳造されたもの。琉球通寶は天保通寶に似た楕円形の銅貨。
鐚銭 鐚銭は私鋳貨で、貨幣流通が不安定な頃に私的に鋳造され、他の銭貨に混入されて流通した。悪銭とも。
島銭 鐚銭と同様に私鋳貨。銭名の書体が大きく崩れていて品質も悪く、不能読も多いが人気は高い。
絵銭
(駒曳銭、念仏銭など)
本来は銭貨を模した玩具だが、駒曳銭、上棟銭、念仏銭、女陰銭など、様々な福銭として各地で作られた。


中国銭

非常に長い歴史の中で多くの王朝や地方政権、有力反徒が生まれて、各々多数の貨幣が発行されています。宋銭や清朝銭は基本的に流通量が多めで入手し易く、遼銭や西夏銭、元銭などは流通量が少ない上に人気も高いため、入手難度は高めになっています。
また、同じ銭名でも貨幣の通用価値が高いものは基本的に銭径や厚みが大きくなっています。

「古銭大全」を元に分類しています。

南北朝以前 漫画「キングダム」の舞台である秦の時代や三国志で知られる後漢、魏呉蜀の時代の古銭など。
隋銭
(隋五銖、白銭五銖など)
複数の国が割拠する時代が続いていた中国を統一した隋により西暦581年から鋳造された五銖銭。
唐銭
(開元通寶、乾元重寶など)
日本では奈良時代から平安時代。遣唐使でも知られる。唐では開元通寶などが鋳造されている。
五代十国銭
(光天元寶、唐國通寶など)
西暦907年から960年。
唐が滅んで大小の王朝や群雄が争っていた。この時代も貨幣は少なめ。
遼銭
(清寧通寶、大安元寶など)
中国北部内モンゴル地域の契丹の国家。この地域の貨幣も流通は少なく、入手難度は高めになる。
北宋銭
(治平元寶、大觀通寶など)
西暦960年から1127年。
豊かな時代となり貨幣の質も大きく向上。多くの種類が発行された。
西夏銭
(天盛元寶、光定元寶など)
漫画「シュトヘル」の舞台でもある中国北西部の羌族の国家で、西夏文字を用いた貨幣もある。
金銭
(正隆元寶、大定通寶など)
遼や北宋を滅ぼしたが、後にモンゴルの「元」によって滅ぼされた。総じて貨幣の質は良好。
南宋銭
(建炎通寶、淳熈元寶など)
この頃銅が不足し、鉄の含有量を増加。鉄銭も多数発行された。発行年を刻んだ南宋番銭が有名。
元銭
(至正通寶、大義通寶など)
チンギス・カンの孫クビライを始祖とするモンゴル人による巨大な国家「元」で用いられた貨幣。
明朝銭
(永楽通寶、崇禎通寶など)
元朝の衰退に伴う反乱に乗じて建国された。永楽通寶が有名で、日本にも多数が渡来し流通した。
三藩銭
(利用通寶、洪化通寶など)
利用通寶、洪化通寶、裕民通寶など各銭貨の面の書体や配置等はよく似通っている。
清朝銭
(順治通寶、乾隆通寶など)
美銭が多いため、順治、康熈、雍正、咸豐など各貨は人気が非常に高く、流通量も非常に多い。
中華民国銭
(福建通寶、民國通寶など)
福建通寶、民國通寶以降は穴銭ではなく、穴なしの銅幣や銀幣に変わっていく。流通量は少なめ。
絵銭 通用銭の裏面に絵を入れた物、動物などの絵柄や飾りに凝った物、大銭など多種の絵銭が存在。


<参考文献>
・「古銭大全」(穴銭堂)


朝鮮銭

朝鮮における穴銭は高麗王朝時代の西暦996年からのようです。やはり中国の影響を受けていて、中国唐時代の乾元重寶を複製した漢字の銭面です。同様に中国銭の開元通寶を模した銅貨を鋳造した後は朝鮮独自の銭名の銭貨が鋳造されるようになりました。

高麗王朝銭
(海東重寶、東圀通寶など)
三韓や東圀など朝鮮独自の銭名。朝鮮銭の流通量は常平通寶を除いて少なく、入手難度は総じて高め。
朝鮮王朝銭
(朝鮮通寶、常平通寶)
常平通宝は背面に鋳造地が判る文字を入れており、多種が存在。流通量は他の朝鮮銭貨に比較すると多め。


安南銭

フランスや中国の影響下だった頃のベトナムは、安南、大越、越南などと呼ばれ、当時の古銭類は安南銭という名前で流通しています。漢字を用い、中国銭と同じ銭名の物も多数発行されています。
各王朝が発行した「歴代銭」と有力反徒などが発行したと考えられる「手類銭」がありますが、手類銭は非常に多種の上に出自不明の物が多く、実際には歴代銭と考えられるものや、中国や日本などの私鋳貨と考えられるものも多く混じっているようです。
静岡いずみ会さんの「安南歴代銭考」「安南手類銭考」を元に分類しています。

丁朝銭
(太平興寶)
大瞿越の丁部領が太平年間(西暦970年から979年)に鋳造。銅色は黒褐色。大半が背に丁の文字がある。
前黎朝銭
(天福鎮寶)
丁部領が暗殺された後を継いで黎桓が帝位に就いた。天福五年(西暦984年)に鋳造。銅色は灰褐色。
李朝銭
(明道元寶、建中通寶など)
西暦1009年に李公蘊が帝位に就き9代続いた。明道元寶以外の銭貨は珍貨ばかりで入手難易度が高い。
陳朝銭
(紹豊通寶、大治通寶など)
大越国。西暦1225年から1400年まで続いた陳朝の銭貨。大治元寶、大治通寶は好書体で人気も高い。
後陳朝銭
(天慶通寶)
中国王朝に服属していた時期の短命王朝で発行は天慶通寶のみ。天慶通寶は書体の変化が非常に多い。
後黎朝(前期)銭
(順天元寶、延寧通寶など)
中国明の勢力が撤退後、黎利が即位して建国。順天元寶から光紹通寶まで発行。銭質は良好な銭貨が多い。
莫朝銭
(明徳通寶、大正通寶など)
衰退した後黎朝を倒した莫登庸が1527年に即位。発行した通貨は何れも近年流通が少なくなっている。
後黎朝(後期)銭
(永寿通寶、景興通寶など)
再興された後黎朝の銭貨。安南銭と云えば、後黎朝銭や阮朝銭が多く出回っている。景興銭は非常に多種。
西山朝銭
(泰徳通寶、光中通寶など)
ベトナム南部広南国を支配した阮恵は西山朝泰徳帝を称した。光中通寶は銅質と真鍮質があり多種である。
阮朝銭
(成泰通寶、保大通寶など)
嘉隆帝から保大帝まで13代続いた阮朝の銭貨。嘉隆通寶など各銭貨は状態が良い物が安価で流通している。
仏製打製銭
(交趾支那、印度支那)
フランスはカンボジア領を保護する名目でベトナムを植民地化。フランスで鋳造した打製銭を持ち込んだ。
手類銭
(明宋手、寧民手など)
歴代銭以外とされるものを銭様、書体、材質、年代等で分け、○○手という名で分類した物。種類は膨大。
バンタン銭 ジャワ島との間の貿易のために安南地方で鋳造されたもの。マレー文字が書かれている。
美號大銭
(明命通寶、紹治通寶など)
茶褐色の真鍮質の大型銭。背には「利用厚生」など、4文字から8文字の故事?が記されている。
銀銭・金銭
(紹治通寶、嗣徳通寶など)
  阮朝の明命、紹治、嗣徳などの銭名を持つ銀貨・金貨が作られている。相場はかなり高く入手は難しい。


<参考文献>
・「安南歴代銭考」(静岡いずみ会)
・「安南手類銭考」(静岡いずみ会)
・「安南銭譜 歴代銭部」(三浦吾泉氏)
・「安南銭譜 手類銭部」(三浦吾泉氏)
・「安南銭譜 大銭銀銭部」(三浦吾泉氏)
・「越南歴史古銭」(Dr. R. Allen Barker氏)
・「東洋古銭図録 上巻」(穴銭堂)
・「穴の細道」(ボナンザ 安達岸生氏)


掲載品について

銭譜とにらめっこしながら分類しておりますが、遠視+乱視+老眼ですし、古銭は文字が錆に隠れたり欠けたり、或いは元々作りが粗雑だったりして、不明瞭なものも多いですし、銭譜の分類自体が微妙な差異だったりするため、見誤ってしまっているものも多数あるかと思われます。
誤っている点がありましたら、ぜひ遠慮なくご指導・ご指摘ください。
よろしくお願いいたします。